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初音ミクはなぜ世界を変えたのか?

初音ミクはなぜ世界を変えたのか?を読んでみた感想です。
基本は、オタクやポップカルチャーではなく「音楽」としての側面を切り口に初音ミクを分析した本。
前半はサマー・オブ・ラブというアメリカとイギリスで起きた音楽イベントの説明で、初音ミクやボーカロイドの説明は後半。
で、ボーカロイドブームが第3のサマー・オブ・ラブだと位置づけています。
最初のサマー・オブ・ラブはアメリカのヒッピーブームのこと。
第2のサマー・オブ・ラブはイギリスのレイヴイベントのこと。
これらの音楽イベントがその後の欧米の音楽に影響を与えたらしいです。
そして、初音ミクがこれらと同様に今後作られる音楽に影響を残し続けると予測してます。
その予測がどうかはともかく、この辺の歴史はさっぱり知らなかったので、興味深かったです。
世界を変えたとは、アルビン・トフラーの言う「第3の波」に初音ミクが乗っていると見ているようです。
それは情報革命のことで、誰もが手軽に情報発信できるようになった時代だから、音楽を発信したい人に初音ミクのような合成音声技術が求められていたと。
その前にシンセサイザーの登場で、器楽については生身の演奏者を必要としなくなったけれど、歌手についてはまだだった。
そこに初音ミク(ボーカロイド)が加わることで、不足は無くなったと。
大本にある情報革命こそが世界を変える主体であって、初音ミクが世界を変えたとのタイトルは言い過ぎに思えます。
初音ミク(ボーカロイド)の影響として、従来は裏方だった「P」が注目される聞き方が普及しつつあるのがひとつあるようです。
このような音楽プロデューサーの違いを聞くという聞き方は、従来だったら一部の音楽マニアの聞き方だった。
ボカロの場合はそれが当たり前になっている。
ボーカロイドという同じ声を使う以上、必然的にPの方に注目が集まる。
そしてボカロ以外にも同じようにPに注目する聞き方が広まりつつあると。
それと渋谷慶一郎のオペラThe Endを挙げています。
これはフランスではポップカルチャーとは異なる文脈で評価されたとのこと。
パリのシャトレ座で21世紀にふさわしいオペラとして絶賛されたそうです。
これはThe Endが世界を変えたと言えるけど、初音ミクがとは言えないと思います……。
JPOPがボカロ曲を真似ていることも指摘しています。
それは「物語化」「高密度化」「高速化」の3つらしいです。
私はJPOPを聞かないので知りませんが。
後半は、初音ミク(ボーカロイド)が育った経緯として、ニコニコ動画という「遊び場」があったことで育ったと言ってます。
ただしこれだけではなく、最初はイロモノ扱いだった初音ミクが消えずに済んだのは、音声合成技術が進化していたこと、「ニコニコ動画」というサイト(遊び場)があったこと、その前に同人音楽が普及していたことと合わせて、「奇跡的な出会い」と言ってます。
実はクリプトン・フューチャー・メディアの社長は、オールナイトニッポンの坂本龍一の番組に投稿していたらしいのです。
この番組がまさに「遊び場」のようなものだったと。
この遊び場がアマチュア音楽家を生んだ。
同様にボーカロイドはニコニコ動画という遊び場から、メジャーデビューする音楽家を生んだと。
過去に類似の現象をクリプトン社長が体験していたから「遊び場」の価値がわかっていて、当初は「イロモノ」扱いだった初音ミクの灯火が消えずに「遊び場」を守ることができたと言ってます。
総じて言って「初音ミクはなぜ生まれたのか?」というタイトルの方が相応しいと思う内容でした。
初音ミクが世界を変えたと言えるほどの実例が乏しすぎます。

初音ミクはなぜ世界を変えたのか?

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